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アジア開発銀行、フィリピン成長予測を引き下げへ 〜中東情勢と汚職スキャンダルの二重リスク〜

ニュース記事

アジア開発銀行(ADB)は、フィリピンの2026年GDP成長率予測を現行の5.3%からさらに引き下げる方向で検討していることを明らかにしました。ADBは、中東紛争が2026年の成長予測に影響を及ぼすとして、数値の見直しを行っていると述べました。その理由として、中東情勢の悪化が引き起こすインフレへの影響、海外送金の減少懸念、そして観光収入の落ち込みを挙げています。

フィリピンには現在、240万人超の出稼ぎ労働者が中東に在住しており、2025年の海外送金額は過去最高の356億ドルを記録しています。そのうち約18%にあたる64億ドルが中東からの送金です。紛争が長期化すれば、この送金という国内消費の主要な柱が大きく揺らぐことになります。一方で、帰国した出稼ぎ労働者が貯蓄を持ち帰ることで、短期的には送金額を押し上げる効果も生じ得ると指摘されています。

さらに、ADBは治水工事をめぐる汚職スキャンダルの進捗も注視しており、投資マインドへの悪影響を懸念していると明らかにしています。2025年はこの汚職スキャンダルが政府支出、家計消費、投資家信頼を同時に冷え込ませ、経済成長率は4.4%にとどまりました。2026年の予測値5.3%は2025年比では改善を示すものの、フィリピン政府が設定した5〜6%という目標の下限水準です。

エネルギー価格についても懸念が広がっています。ADB側は、中東紛争が長引いて原油価格が1バレル100ドルを超えた状態が継続する場合、フィリピンにもインフレ圧力がかかり得ると警告しており、一部の石油会社は週内に二桁台の燃料価格引き上げを検討し、ディーゼル燃料が1リットルあたり100ペソを超える可能性も指摘されています。

中長期の見通しについては、ADBは、公共・民間投資が回帰すれば2027年には6%成長への復帰もあり得ると述べており、フィリピン経済の潜在力が否定されたわけではありません。

総評

ADBによる成長予測引き下げは、中東情勢と国内の汚職問題という二つのリスクが同時進行していることを改めて示しており、フィリピン経済の回復軌道が依然として不安定であることを浮き彫りにしています。ただし、低インフレと金融緩和の継続が内需を下支えしており、最悪期からの脱却に向けた基盤自体は維持されています。投資家としては、今期の数値に過度に反応するよりも、汚職問題の収束と公共投資の再加速という2つのシグナルを慎重に見極めながら、中長期の視点で判断する姿勢が求められます。

https://www.bworldonline.com/top-stories/2026/03/16/736407/adb-to-cut-phl-growth-projection

家村 均