フィリピンのメガバンBDO業績好調
ニュース記事
BDOの株価は先週、中央銀行(BSP)が政策金利を25ベーシスポイント引き上げたことを受け、小幅に下落しました。この引き上げは、同社の第3四半期の業績と、石油会社Phoenix Petroleum Philippines, Inc.とのセールアンドリースバック契約の締結というニュースが伝えられる中で行われました。フィリピン財閥SMグループの同社の株価は、年初来+21.6%でした。
同社の最新の決算は市場から一定の好意的な反応を得たものの、地政学的な緊張やBSPによる25ベーシスポイントのオフサイクル利上げなどの大きな動きが、株価を主に牽引したとのことです。
高い金利は一般的に株式に悪影響を及ぼします。投資家は利回りの高い国債などの債権に逃避する傾向があるからです。また、金利上昇が銀行に与える影響は、資金調達コストが融資コストよりも速く上昇することです。
BDOの第3四半期の業績は市場予想を上回ったものの、市場は大きく反応しませんでした。これは、中東の緊張やフィリピンと中国の西フィリピン海での領土紛争など、いくつかの要因によるノイズが原因であると考えられています。
先週、中央銀行は11月16日の政策決定会合に先立ち、インフレの上振れリスクを考慮し、オフサイクルの利上げを実施しました。
金融政策委員会は、7カ月ぶりの利上げを行い、政策金利を6.5%に引き上げました。これにより、2022年5月以来の累積的な利上げ幅は450ベーシスポイントとなり、2007年5月の7.5%以来、16年ぶりの高水準です。
フェニックスぺトロリアムは、債務再編のため、BDOとセールアンドリースバック契約を締結することを検討しているとの報道がありました。フェニックスは、今回の契約により、少なくとも90億ペソを調達することを計画しています。この契約は、ビジネスオペレーションを妨げることなく、同社の債務を削減し、信用劣化を防ぐことを目的としています。
売却額は資産の実際の価値のごく一部であり、フェニックスが資産を買い戻せない場合、BDOは資産の価値がフェニックスへの融資額をはるかに上回るため、利益を得ることになります。
BDOは第3四半期、税引き後純利益が16.5%増の187億ペソとなり、1月~9月の税引き後純利益は539億ペソに達し、前年の400億ペソから34.8%増加しました。同社の通期純利益が670億ペソに達すると予想されており、これは通期予想の80%に相当します。
BDOの融資事業は高いマージンとともに引き続き堅調に成長すると予想されており、手数料収入も堅調に推移するとみられています。
同社の規模、貸出意欲、強力な顧客基盤、デジタルと支店網の拡大などポジティブな点がアナリストから指摘されています。
インフレ抑制のための中央銀行による利上げが続く中、BDOなどの大手銀行は貸し出し金利を上げて、預貸金利差が確保してきましたが、金利水準が今のレベルまで上がると、国債などに流れる資金も増えてきて、短期的な株価的にはどういう動きになるか微妙なところです。
ただ、本業の業績もよく、成長するフィリピン経済の中での存在感の大きいBDOなど大手銀行は、長期的に成長していくことが期待されています。
本記事は、下記ニュースを要約したものに、投稿者の意見や見方を加筆したものです。
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