地政学リスク上昇でディフェンシブ銘柄に注目

地政学リスクの高まりによる影響

・中東の緊張が高まることで、原油価格などの上昇を通じて世界経済に影響が出る可能性があります。

・しかし、先週の攻撃に対するさらなるエスカレーションはなさそうとの最新情報が市場の落ち着きを取り戻しており、ブレント原油価格は一時1バレル90ドルを超えていたものの、現在は87ドル以下に落ち着いています。金価格も一時2,391ドルと最高値を更新しましたが、こちらも下落しています。

・フィリピンペソは、対米ドルで過去52週安値の57.63ペソを記録し、0.75%下落しました。

フィリピン市場への影響

・フィリピン市場では、今回の状況がインフレを悪化させる可能性が懸念されています (商品価格の上昇とペソ安が同時に進行)。

・もともとフィリピン中央銀行 (BSP) は、食料や輸送コスト上昇に伴いインフレ懸念が高まっていたため、今回の事態以前からタカ派姿勢を強めていました。BSP は当初想定されていた利下げを延期する可能性を示唆しており、財務大臣もペソが過去最安値の59ペソ/ドルを超えて下落した場合には利下げがさらに延期されると発言しています。ABCSIの予想では、2024年後半の利下げは当初の75ベーシスポイント (bps) から少なくとも50bpsに縮小されるでしょう。

投資戦略

・インフレ高進と地政学リスクの上昇を踏まえ、短期的な投資戦略としてはディフェンシブ銘柄 (景気変動の影響を受けにくい銘柄) を推奨します。同時に、景気回復が見込まれる優良銘柄にも引き続き注目します。

・優先される銘柄は、SM Investments Corporation (SM)、Metrobank (MBT)、Jollibee Foods Corporation (JFC)、 Ayala Land, Inc. (ALI)、International Container Terminal Services, Inc. (ICT), Aboitiz Power Corporation (AP) Manila Water Company, Inc. (MWC) です。なお、2024年の株価指数目標は7,300のまま据え置きです。

本記事は、フィリピンの証券会社・AB Capital Securities, Inc. (ABCSI)の20240422のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約したものです。

今後長期にわたり高い成長が期待されるフィリピン株にご興味のある方は、以下の記事もご覧ください。

https://ph-asset.com/article/how-to-buy-philippine-stocks

https://ph-asset.com/article/howto-stock-philippines

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家村 均

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング　エグゼクティブディレクター

慶応義塾大学経済学部卒業後、東急電鉄に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。（約15年）
その後は、コンサルティングファーム（アクセンチュア・ユニシス）や投資ファンド（三菱UFJキャピタル）などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施。現在、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産の販売やフィリピンへの事業進出のアドバイスを行っている。

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