フィリピンの個人消費支出K字型回復傾向
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フィリピンの消費者支出は回復傾向にありますが、その回復は一様ではなく、K字型の様相を呈しています。具体的には、旅行や生活必需品といった特定のセクターでは力強い成長が見られる一方で、低所得者層の消費や裁量的な支出は依然として厳しい状況にあります。
足元の経済指標や企業業績からは、このような消費回復の二極化が示唆されています。好調なセクターが経済全体を牽引する一方で、依然として多くの消費者が経済的な課題に直面していることが伺えます。
しかしながら、今後の見通しとしては、消費者支出は力強く成長することが予測されています。特に2025年には、インフレの緩和や潜在的な利下げ、賃金の上昇、そして中間選挙といった要因が、消費を大きく押し上げると期待されています。
AB Capital Researchの予測によれば、実質家計支出は2024年の約5%増から、2025年には5.3%増へと加速する見込みです。このような全体的な消費回復の見通しがある一方で、純粋な裁量消費カテゴリーについては、消費者心理が明確に改善するまでは慎重な姿勢を維持すべきであると指摘されています。
現状のトレンドとしては、生活必需品、底堅い大衆市場の需要、そして一部の旅行・食品カテゴリーに強みを持つ企業、具体的にはJFC(ジョリビー・フード)、MONDE(モンデ・ニッシン)、PGOLD(ピュアゴールド)などが、今後の成長の恩恵を受ける可能性が高いと考えられています。
上記の個別銘柄の中では、PGOLDが2024年の好調な業績を背景に現時点で市場をアウトパフォームしています。一方、JFCとMONDEは出遅れています。しかしながら、MONDEには国内投資家からの買い意欲が見られ始めていますが、JFCは依然として海外投資家からの関心が低い状況が続いています。
総評:フィリピンの消費者支出は二極化しながらも回復基調にあり、2025年にはインフレ緩和や政策効果により力強い成長が予測されます。当面は生活必需品や底堅い需要のあるセクターが有望ですが、消費者心理の改善が裁量消費回復の鍵となります。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20251004のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約したものです。
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