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フィリピン株式市場における次のサイクルに向けた戦略 〜強気相場入り〜

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フィリピン市場は、2024年の展望を「ポジショニングの年」として捉え、段階的な成長の準備が進んでいると言えます。初期段階では、マクロ経済の状況が不安定でありながらも、下振れリスクは限定的であるとの見方を示し、2024年末のフィリピン総合株価指数(PCOMP)の目標を7,300と設定しました。この予測は、国内総生産(GDP)成長率を5.7%、一株当たり利益(EPS)の成長率を10.3%とした前提に基づいています。加えて、フィリピン中央銀行(BSP)の利下げが行われた後、市場の反応を受けて年末の指数目標を7,500に引き上げました。この目標は現時点で達成圏内にあるように見えます。

現在、新たな市場戦略「次のサイクルに向けたポジショニング」では、楽観的な見通しが現実的な基盤に支えられていることと主張しています。インフレの緩和、金利の低下、フィリピンペソの強含み、そして企業業績の上方修正など、ポジティブなマクロ経済環境が整いつつあります。これに加え、外国資金の流入も好調で、市場の勢いを持続させる要因となっています。株式のバリュエーション(評価)は依然として魅力的であり、現在の株価収益率(P/E)は13.1倍と、過去5年平均の16.2倍に比べるとまだ低い水準にあります。

今後、12か月のPCOMP目標は8,500と設定されており、これは13.6倍のP/E(過去5年平均の1標準偏差下)に相当します。この成長を牽引する要因として、以下の点が挙げられます:

  1. EPSとGDP成長の加速
    2024年および2025年のEPS成長率は12%と予測され、GDP成長率も6%に引き上げられました。この経済成長は企業業績を支え、株式市場全体のパフォーマンスに寄与する見込みです。
  2. 金融政策と為替のサポート
    フィリピン中央銀行(BSP)は2024年末までに25ベーシスポイント(bps)、2025年には100bpsの利下げを行うと予想されています。これにより、2024年の平均インフレ率は3.1%、2025年は2.6%になると見込まれています。また、ペソドル相場は2024年にP55/US$、2025年にP54/US$で安定すると予測されています。
  3. 政府支出と投資の増加
    特にインフラ分野において、政府の支出と投資が活発化する見通しです。また、2025年5月に予定されている中間選挙も消費や投資を押し上げる要因となり得ます。さらに、法人税率の引き下げを含む「CREATE MORE法案」の成立が経済活動を刺激すると期待されています。

フィリピン株式市場への資金流入を支える要因として、次の三つが挙げられます:

  1. 外国人投資家の復帰
    外国人投資家による市場への資金投入は、2017年には市場の26.4%を占めましたが、その後2023年までの間に累計4100億ペソの売り越しが続き、現在では21%と低水準にあります。しかし、ここにきて外国人投資家が市場に戻りつつある兆しが見え始めています。
  2. BSPに預けられた過剰な流動性の再配置
    BSPに保管されている過剰な流動性が再び市場に流入することで、資金が国債から株式市場にシフトする可能性があります。
  3. 債券から株式へのシフト
    金利の低下に伴い、投資家が固定収益商品からよりリターンの高い株式へとシフトする動きが進むと予測されています。

また、株式の評価と収益性、流動性、営業レバレッジを基にしたスクリーニングにより、高い信頼を持てる銘柄として、SM、GTキャピタル(GTCAP)、ジョリビー(JFC)、MONDE、SMPH、ロビンソンズランド(RLC)、メトロバンク(MBT)、BDO、アボイティズパワー(AP)、コンバージ(CNVRG)が挙げられています。

セクター別では、銀行、不動産、消費、コングロマリットのオーバーウェイト(O/W)を推奨しています。これらの分野は、マクロ経済の改善や企業業績の向上により、今後も成長が期待されるセクターです。

まとめ

総じて、フィリピン株式市場は、経済の基礎的な指標が改善しつつあり、今後も堅調な成長が見込まれる段階にあります。市場の評価は依然として割安であり、外国資金の流入や国内投資家の動きも市場を支える重要な要素となっています。特に、政府の政策支援やインフラ投資の拡大が市場全体の成長を促進する見込みです。


本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20240925のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約したものです。

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家村 均