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フィリピンペソ高は、内需主導のフィリピン経済に追い風

ニュース記事

2025年年初来でフィリピンペソ(PHP)は米ドル(USD)に対して4.2%上昇しており、これは輸入依存度の高い業種や米ドルに関連したコスト構造を持つ企業にとって追い風となっています。主な恩恵を受けるセクターは、消費財や小売業、財閥企業、電力・公益事業、航空・輸送、通信業です。

消費財・小売業分野では、URC(ユニバーサル・ロビナ・コーポレーション)が小麦や砂糖といった原材料を輸入しており、原価低下による利益率の改善が期待されます。MONDE(モンデ・ニッシン)も即席麺やビスケットの製造に必要な小麦やパーム油を輸入しているため、ペソ高は原価の削減につながります。JFC(ジョリビー・フーズ)も多くの原材料を輸入しており、為替の恩恵を受ける構造です

LTG(ルシオ・タン・グループ)はビールやタバコの生産に輸入素材を用いており、原材料費の低下が見込まれます。PGOLD(ピュアゴールド・プライス・クラブ)は一部商品を輸入しているため、コスト効率の向上が見込まれます。

財閥企業では、消費部門を持つ企業が恩恵を受けます。JGS(JGサミット)は傘下のURCやセブ・パシフィック(CEB)を通じて利益を得やすい構造にあります。GTCAP(GTキャピタル)はトヨタとの提携で自動車部品の多くを輸入しており、原価低下が見込まれます。

電力・公益セクターでは、MER(マニラ電力)は売上がペソ建てですが、仕入れ電力が米ドル連動であるため、ペソ高はコストの安定やマージンの維持に寄与します。AP(アボイティス・パワー)も燃料コストや一部の米ドル建て債務の削減につながる恩恵を受けます。MWC(マニラ・ウォーター)もインフラ機材の輸入において、ペソ高によりコスト圧力が和らぎます。

航空・輸送分野では、CEB(セブ・パシフィック)が最大の恩恵を受ける企業です。航空機リース料、燃料費、負債の多くが米ドル建てであるため、ペソ高により運用コストが大きく抑えられます。

通信分野では、GLO(グローブ・テレコム)およびTEL(PLDT)が米ドル建ての設備投資および負債を多く抱えているため、為替差損や利息支払いの軽減につながります。

総評:

現在のペソ高は、多くの企業にとってコスト面での好材料となっており、とりわけ輸入比率の高い業種や米ドル建て負債のある企業にとっては利益率の改善が見込まれます。総じて、内需主導のフィリピン経済にとっては通貨高は業績を下支えするポジティブ要因といえます。

本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20251004のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約したものです。

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家村 均